【プラダを着た悪魔】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
プラダを着た悪魔は2003年に刊行されたローレン・ワイズバーガーによる小説作品で、2006年にアメリカ映画として実写化されました。
監督と務めたのはデヴィッド・フランケルで、メリル・ストリープやアン・ハサウェイなどの有名なハリウッドスターが演じました。
基本的には小説と映画でストーリーは同じなのですが、話が進んでいくうちに展開が大きく変わっていきます。
そこで小説ならではの良さと映画ならではの良さの両方を楽しむことができる作品となっています。
あらすじ解説
名門大学を卒業し、ジャーナリストを目指すアンドレアはファッション雑誌「ランウェイ」の編集部に就職します。
文章を書くことが好きだけれどファッションに興味があるわけではないアンドレアは同僚だけではなく彼氏や友人たちからも馬鹿にされていました。
そんなランウェイで神様的存在として君臨するのがミランダです。
ミランダの理不尽さは目に余るものがあったのですが、そこで1年頑張ればどんな仕事でも通用すると信じたアンドレアは必死にしがみついていきます。
そんな我慢も限界にきた彼女は同僚のナイジェルに初めて弱音を吐きます。
「彼女に嫌われている」と涙するアンドレアを見たナイジェルは「甘えるな」という愛の鞭を与えます。
何百万人という女性の憧れである仕事に幸運にも就くことができたにもかかわらず、文句を言う彼女をナイジェルは許せなかったのです。
愛の鞭を受けたアンドレアはどうすれば仕事をすることができるのか、どうすれば認めてもらえるのかということを考えた結果、興味のないファッションへと足を踏み入れることになります。
ブランドアイテムを身に着けたアンドレアはまるで別人かのように仕事に取り組むようになりました。
名門大学を出ていたことから頭がよかった彼女は仕事の要領もよく、その働きぶりを見た周りの人間は徐々に彼女を認めていくようになります。
いつの間にかファッションの世界に強く惹かれていったアンドレアは自分の仕事にも自信を持つようになり、鬼上司であるミランダに対して絶対服従の姿勢を見せるようになりました。
そのため同棲していた恋人のネイトとはすれ違うようになり、仕事をとるか愛をとるかという究極の選択においても仕事を捨てることができなくなっていました。
悪魔のような要求に応えてきたことで力をつけていったアンドレアはいつしか鬼上司ミランダの理解者となっていました。
ファッション業界で知らない人はいないほど有名なミランダではありますが、その絶対的なポジションを守る故に自身のプライベートはうまくいかず、アンドレアは彼女の共感するようになります。
そうして彼女はふと以前のファッションに興味がなかったころの自分を思い出し、ランウェイで学んだことを胸にジャーナリストの道を本格的に歩むようになるのです。
みどころのポイント
ジャーナリストとして文章を書いていくのであれば様々な経験を積むことが必要不可欠であるということは分かるのですが、なぜそこでファッション雑誌の編集部に就職をすることになるのかという疑問があります。
興味がない業界に飛び込んだ上に、まるで悪魔だと言われるような上司の下で働くのには並大抵の根性では耐えられないでしょう。
そんな厳しい世界に飛び込んだアンドレアは入社初日から数多くの壁にぶつかります。
通常の業務を1から教えてもらえるわけではなく、すべてはミランダ次第なので最初に予定していた仕事もドタキャンになってしまうこともしばしば。
ただ言われた通りに業務をこなすのでは務まらない仕事だからこそ彼女をより強くしたのでしょう。
働いていく中で壁にぶつかって立ち止まってしまうことは誰にでもあります。
そんなときには1人で抱え込むのではなく誰かにアドバイスを求めることが非常に重要です。
アンドレアの場合それがナイジェルでした。
決して優しい言葉をもらうことができたわけではありませんが、厳しい言葉の中にある優しさをくみ取ることができたのはアンドレアが素直だったからでしょう。
郷に入っては郷に従えという言葉を実行したアンドレアは着実に力をつけていきます。
理不尽な要求をする上司だということを理解したアンドレアは「どうすればその理不尽さに対応することができるのか」ということを考えて先のことも見越して仕事をします。
ミランダが与える理不尽な仕事内容も大きな見どころなのですが、それに対してアンドレアがどう考えどう行動するのかというのがもっとも重要です。
現実の社会ではここまで厳しい職場というのはなかなかないでしょう。
そのため見ていて「アンドレアが可哀そう」や「ミランダは厳しすぎる」というような声が多々上がりますが、この作品で見るべきポイントはそこではありません。
数多くの人々の憧れの象徴であり続けるためには何が必要なのか、そのトップに君臨するためにはどうしなければならないのかということを熟知しているからこそミランダは理不尽な仕事を与え、ボスのために働き認めてもらうためにはどうすればいいのかということを素直に学んでいくアンドレアの仕事に対する姿勢が最大の見どころなのです。
それぞれの立場でしか分からないことをこの作品が教えてくれます。