【フラガール】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
フラガールは2006年9月23日公開されました。
李相日が監督を詰めており、松雪泰子や蒼井優などが出演しています。
製作者は李鳳宇、河合洋、細野義朗です。
また脚本は李相日に加えて羽原大介が参加しました。
企画・プロデュースは石原仁美です。
音楽を担当したのはウクレレ奏者で知られているジェイク・シマブクロ、演技・振付指導はカレイナニ早川が担当しています。
製作委員会はシネカノン、スターダストピクチャーズが担当し製作配給がシネカノンが務めました。
あらすじ解説
昭和40年、地域の主力産業であった常磐炭鉱が大規模な縮小が迫られます。
石炭から石油へと急速に移行する中で避けられない変化でした。
そんな中、炭鉱会社部長・吉本は、地域のために「常磐ハワイアンセンター」計画を打ち出し、踊り手となる女性らを募集しました。
しかし見本となるビデオを流すと露出度の高い衣装であったため、女性らが帰ってしまいます。
その場に残ったのは、紀美子、早苗、小百合、初子らの少女たちでした。
そして東京からはダンス講師・平山まどかと対面しますが、紀美子らは落胆してしまいます。
母親の借金に振り回される生活や素人相手の講師という不満があり、二日酔い姿で現れたからです。
翌日、平山の踊る姿に見惚れた4人は、学びたいと申し出ます。
その真剣な表情に心を動かされた平山は、共にフラダンスの練習を始めると女性の希望者が増加します。
しかし紀美子、早苗の家族は、娘がフラダンスをしていることを知りませんでした。
紀美子の母・千代は、娘がフラダンスをしていることを知ると烈火のごとく怒ります。
自宅に居場所を失った紀美子は、教室で寝泊まりするようになるのでした。
また衣装合わせをしていた早苗を目撃した父・清二は、怒りのあまりに殴ります。
そのふるまいに激怒した平山は、銭湯の男湯にいた清二を殴ります。
その後、炭鉱が存在する夕張へ向かうため、早苗はチームから離れることになりました。
実力を身に着けたフラダンスのメンバーらは宣伝ツアーを開始、フラダンスの優美な踊りが話題を集め、メディアも取り上げ始めます。
一方の常磐ハワイアンセンターの建設も順調に進んでいましたが、炭鉱の落盤事故により、危機が訪れます。
この事故で小百合の父が亡くなってしまい、事故が起きた時間帯に小百合がフラダンスをしていため、地元の人達の怒りがフラダンスチームに向かったのです。
平山は責任を痛感しフラダンスチームを去ろうとしますが、メンバーらは必死の思いで呼び止めます。
そして地元の人達の説得を買ってでたのは紀美子の母・千代でした。
娘がフラダンスを踊ることに抵抗を持っていましたが、早苗からの小包を渡すために教室に行ったとき紀美子の美しい踊りを見て、感動してしまったのです。
常磐ハワイアンセンターが開設した初日、フラダンスチームは見事な踊りを披露します。
紀美子はソロでタヒチアンダンスを踊り、拍手喝采を受けるのでした。
みどころのポイント
フラガールの見どころは、やはり美しいダンスにあります。
フラダンスは、上半身を微動だにせずに膝を曲げて状態で腰を低くし、下半身のみを左右に大きく振り続けなければならないという踊りです。
体力を消耗する動きを滑らかに続けるには、過酷なトレーニングを経なければなりませんが、主演した松雪泰子さんや蒼井優さんらは、撮影開始される2ヶ月前から1日6時間~8時間のトレーニングを受けており、映画の中でも最も力を入れている点といえるでしょう。
見どころとなっているダンスシーンは、平山が一人で踊るシーン、フラガールのメンバーが踊るチームダンス、そして紀美子のソロダンスです。
ダンス講師として訪れた平山は、一人で踊るシーンを最初に見ることになります。
母親の借金に振り回される日々や田舎町で素人娘を相手にダンスを教えるという、屈折した感情をぶつけながら一人で踊るうちに気分が開放されていき、平山に本来の感情と動きが戻り、酔っ払った姿に落胆した紀美子らを感動させるのでした。
またフラガールのチームメンバーが、息を合わせて踊るハワイアンダンスも見事です。
南国の華麗な衣装をまとった女性たちが、流れるような優美な動きで美しい踊りを魅せてくれます。
まとまりがあり、ゆったりとしたフラダンスを見ると思わず踊りたくなってしまうほどです。
そして最期に触れなければならないのが、紀美子のソロです。
タヒチアンという踊りは、ゆったりとしたハワイアンダンスに比較すると1分間も200回も左右に腰を振るという激しい踊りです。
もちろん膝を曲げて腰を下げ、笑顔を絶やさないという点では全く同じですが、優美なハワイアンダンスに対して、情熱的な印象を感じさせます。
紀美子は、膝を曲げ、床に背中をつけ、仰向けになった状態からゆっくりと起き上がるところからタヒチアンダンスが始まります。
速いテンポのトレエ(タヒチの伝統楽器)やドラムなどのリズムに合わせて、激しく踊る姿は、まさに圧巻というしかありません。
フラダンスを踊りたいという少女たちの気持ちは、厳しいトレーニングをより鍛えられ成長します。
そして圧巻の踊りを披露することで町の人々に勇気を与えるのでした。