【トレインスポッティング】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
「トレイン・スポッティング」はダニー・ボイル監督のイギリス映画です。
1996年に制作されました。
スコットランドの若者たちのリアルを描いており、今では青春映画の金字塔的な作品です。
主演を務めたのはユアン・マクレガー。
彼はこの映画のヒットにより、イギリスを代表する俳優となってハリウッドへの進出も果たします。
主人公の友人で血の気の多いキャラには、演技派として定評のあるロバート・カーライルがキャスティングされています。
あらすじ解説
アーヴィン・ウェルシュの同名小説を映画化した本作は、スコットランドを舞台にヘロイン中毒の若者たちの日常を描いています。
ヘロイン中毒のレントンは不況真っ只中のスコットランド・エジンバラでブラブラとした生活を送っていました。
彼の周りにいつもいるのはスパッド、シックボーイ、ベグビーなどで、彼らとともにケンカやナンパなどを繰り返す日々です。
ある日、仲間の一人が軽犯罪で捕まってしまい、レントンはとうとうドラッグを辞めることを決意。
その前には可愛らしい彼女もできていて、平凡な人生を模索することを考えていました。
レントンにとっては苦しい何度目かの薬物治療が始まります。
これまで、何度もクスリをやめてまっとうに生きようとするものの、彼は悪い友達が多いため、結局はズルズルと元の生活に引き戻されていきました。
しかし、今度という今度は真剣にやろうと決意し、薬物治療を乗り越えました。
そしてロンドンへ就職します。
一方、その頃仲間たちは相変わらず自堕落な生活を続けており、とくに一番凶悪なベグビーは危険な仕事に手を染めようとしていました。
レントンは新しい仕事を始めて、少しながらだけども、自分の生活の基盤を築いていこうとしています。
しかし悪い友達と再会したとき、悪魔のような誘いを持ちかけられてしまうのです。
計画はベグビーが持ちかけます。
それはクスリの売買です。
2キログラムのヘロインを買ってしまったマイキーは、それを売りさばくためにレントンの貯金を狙います。
レントンは購入者との取引まで同行することになりますが、ヘロインを高値で売ることに成功します。
仲間で祝勝会を開くレントンたち、それが終わるとベグビーたちは酔いつぶれていました。
大金を前にして主人公は仲間の一人とお金を持ち逃げすることを企みます。
しかし、酔いつぶれていた仲間は帰ってきてしまいました。
ただ、もう一度お金を盗むチャンスがあり、今度は一人でお金を盗み出します。
案の定、ベグビーは怒り狂いますが、レントンはすでに遠くにいってしまったあとです。
お金を持ち出しても秘密を守ってくれた仲間にはお金をロッカーに残してあげて、レントンは平凡な人生をつかむために走り出します。
みどころのポイント
トレイン・スポッティングはまず音楽が魅力的な映画です。
劇中には1980年代と90年代のブリティッシュミュージックが流れますが、そのいずれもがセンスの良いものが使われています。
映画は大ヒットしましたが、映画とともに劇中に流れる音楽やBGMをまとめたサウンドトラックもまたヒットします。
少しダウナーな曲があったり、オルタナティブ・ロックがあったりと曲調も幅広く、音楽映画としての一面もあるでしょう。
この映画のサントラに採用されたことがきっかけとなって、新しく人気が出た曲や歌手もいます。
音楽以上に注目を集めたのは斬新な映像表現です。
監督のダニー・ボイルは先端的な映像表現で知られますが、彼の特徴がもっとも色濃く出た作品といっても過言ではありません。
とくに麻薬を吸ってハイになるシーンは、その後の映画やミュージックビデオなどで散々模倣されました。
部屋の壁が迫ってきたり、逆に離れていってしまうあのシーンです。
見る人に強烈な印象を与える映像表現で、ダニー・ボイルの映像作品はその後も高い評価を受け続けています。
物語に話題を移すと、この作品は若者なら誰でも味わったことのある普遍的なテーマを描いていることも分かるでしょう。
田舎に生まれて、行き場のない若者たちの焦燥感を描いています。
将来やりたいことが分からず、ただ仲間たちとどんちゃん騒ぎをするような主人公たちは、若者の永遠の悩みでありテーマです。
それを映画はとても真摯かつストレートに描きました。
先端的な音楽や映像ばかりが注目されますが、物語はとてもシンプルで心を打つものとなっています。
最後にトレイン・スポッティングとはどういう意味なのでしょう。
作中ではそれが明示的に語られないため、さまざまな解釈がありましたが、これは文字通り列車を観察する人やその場所を表しています。
この映画は若者の薬物中毒を描いていますが、物語の舞台のスコットランドでは薬物中毒者は列車や駅に集まるような習慣があったようです。
そして、いつしか薬物中毒者のことをトレイン・スポッティングと呼ぶようになりました。
そのため、この映画のタイトルはスコットランドならではの慣用表現だということができます。