【トレーニングデイ】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
トレーニングデイは、米国で2001年10月5日、日本で2001年10月20日に公開された映画です。
監督にアントワーン・フークア、脚本を担当したのはデヴィッド・エアー、製作にはジェフリー・シルバーらが参加しました。
主演にはデンゼル・ワシントン、新人警官役にはイーサン・ホークが出演しました。
デンゼル・ワシントンが悪役に徹した映画作品でした。
さらに撮影場所では、LAにギャングらの協力を得て、その縄張りで撮影しています。
あらすじ解説
LA市警の新人刑事ジェイクは、麻薬取締課に配属されました。
バディを組むのは「狼を倒せるのは狼だけ」という信念を持つベテラン捜査官のアロンゾでした。
勤務初日、タレコミ屋を使っておとり捜査を行い麻薬を押収します。
そして「操作現場で麻薬を吸わないと、売人らに怪しまれ命を失う」ともっともらしい理由をつけ、ジェイクに吸うよう強要します。
また強姦現場を目撃したジェイクが、二人の犯罪者から女子学生を救出すると、アロンゾは余計なことをするなとばかりに犯罪者二人を痛めつけるだけで逮捕せず、持っていた麻薬を奪ってその場を立ち去ります。
この他にも令状なしで捜査したため銃撃戦になるなど、不正な捜査手法を目の当たりにします。
それだけではありません。
黒人が多数すむ貧困地区に住む愛人の元を訪れ、その子供と過ごしたり、ロサンゼルスの警察・検察関係者らが集まったいわくつきの集まりにも同行させられます。
そして賄賂で取得した捜査令状と仲間の警官らを集めて、ロジャー宅を捜索し地下に隠してあった大金を手にすると、山分けしようとするのです。
その中にはジェイクも含まれていましたが、アロンゾが渡そうとする現金を頑として受け取りませんでした。
そんなアロンゾは、銃を手にしてロジャーを射殺します。
陥れられたジェイクは、それでも金は受け取らないという気骨を見せます。
対処に困ったアロンゾは、ジェイクをギャングのアジトに連れていき、始末を依頼しますが、レイプされかけていた女性の身内が助けてくれるのでした。
殺されかけたジェイクは、愛人宅に向かいます。
周囲にいた住民たちも、その姿を見て止めようともせず、連絡しようともしませんでした。
アロンゾはというと集めた大金を数えており、ロシアマフィアとのトラブルの解決金にしよとしていました。
ジェイクは銃を突きつけますが、すきを突かれてしまい銃撃戦に発展、アロンゾはその場を逃げ出します。
金を持ち出そうとするアロンゾが乗った車にジェイクが飛び乗ると、左右に蛇行するようにして振り落とそうとして操作を誤り衝突してしまいます。
脳震盪で身動きが取れない状態になったアロンゾに対しジェイクは銃を突きつけます。
騒動を知った住民らが次々と現れますが、普段から横柄な態度を取っていたアロンゾの呼びかけに応じるものはいませんでした。
みどころのポイント
トレーニングデイのみどころは、やっぱり悪デンゼルです。
デンゼル・ワシントンと言えば、マルコムXのような信念を貫いたり、クリムゾン・タイドや戦火の勇気のように気骨ある軍人といった役柄が多いですが、このトレーニングデイでは、頭の天辺から足の爪先まで悪役に徹しています。
しかも悪役と言ってもアメリカン・ギャングスターのような、マフィアのトップではなく、私益を貪る不正警官役を演じきりました。
麻薬取締刑事でありながら麻薬を吸うだけでなく、捜査令状なしで捜査に入ったり、犯罪者をボコボコにして薬物飲みを奪い取り、逮捕すらしないという捜査手法は、すでに暗黒面ならぬ、犯罪面に入ってしまっています。
またトレーニングと称しジェイクに麻薬を吸わせたり、愛人宅で待たせたり、挙げ句の果てには犯罪者の溜め込んだ金を奪って山分けしようとするなど、もはや無法者と言っていい演技を魅せており、今までのデンゼル・ワシントンというイメージではなく、悪デンゼルという新しい境地を開いと言える映画です。
ジェイクに銃を突きつけられ、集まってきた住民らに助けるよう要求しますが、だれからも手を差し伸べられないとい現実を目の当たりにした表情、そして待ちから逃げ去ろうとするアロンゾは、ギャングと思しき集団に襲われ蜂の巣にされてしまいます。
新年であった「狼を足すには狼でなければならない」は、彼を犯罪者に変え、悲しい結末を招くのでした。
対する新人警官ジェイクを演じたイーサン・ホークの演技も秀逸でした。
正義感が強く、家族思いの役柄を演じており、アロンゾの捜査手法に対しては、初日から違和感を感じ続けていました。
それでも犯罪者を逮捕するため、ついていきますが、アロンゾはジェイクが想像したよりもはるかに上の不正刑事でした。
最初の方に出てくる強姦未遂事件で命がけで女子学生を助けますが、これが伏線となってギャングから命を助けられることになります。
撮影されたのは、当時活動していたストリートギャングらの縄張りであることも注目です。
LAのリアルなギャングストリートを舞台に撮影を決行しているため、殺伐とした風景をリアルに表現しているのもみどころとなっています。