【シザーハンズ】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
ジョニー・デップの最高傑作とも謳われている「シザーハンズ」は不朽の名作です。
「パイレーツオブカリビアン」などで日本でも人気があるジョニー・デップと「ビートルジュース」のウィノナ・ライダーが共演し、ティム・バートン監督がこの作品のメガホンを取りました。
実はこの作品が、ジョニー・デップとティム・バートンがタッグを組むきっかけになったそうなんです。
切なくも美しい幻想的な世界観はもちろん人造人間と人間の恋にも目が離せません。
あらすじ解説
なぜ街に雪が降るようになったのかを年配の女性が孫の女の子に語りはじめるシーンから物語は始まります。
昔とある屋敷に暮らしていた発明家が人造人間、エドワードを作り出すことに成功しました。
しかし、その成功は奇しくも完全ではなかったので、彼の両手はハサミだったのです。
発明家はエドワードに両腕を与えようと試みていましたが、その半ばで発作によって亡くなってしまいました。
そしてとうとう彼に両手は与えられることは無かったのでした。
それから長い年月が経ち、ある日街の化粧品のセールルスレディをしていたペグという女性がたまたま屋敷を訪れて、1人で屋敷に暮らす彼を見つけて自分の家に連れて帰ったのでした。
彼はペグの娘のキムと仲良くなり、2人は次第に心を通わせあいます。
しかし、彼女とエドワードの仲を快く思わないキムの彼氏ジムはことあるごとに彼を窮地に追いやり非難するようになるのでした。
エドワードは持ち前のハサミで髪を切ったり、樹木を剪定する技術を買われてペグたち一家だけでなく街の人とも馴染んでいったのですが、ジムがエドワードを利用して盗みを働き、さらにはその罪を彼になすりつけたたり、あらぬことをささやかれたりしたため、街の人は次第にエドワードのことをよく思わないようになってしまいました。
そんななか彼女とエドワードの2人の関係を揺らがすある決定的な事件が起きてしまうのです。
それはちょうどクリスマスの時期でした。
エドワードはペグたち家族のために大きな氷の彫刻を作っていたのですが、そのときその場に居合わせたキムを誤ってハサミで傷つけてしまったのです。
アクシデントとはいえ、彼女を傷つけてしまったことに対してショックを覚えた彼は屋敷に逃げ帰ってしまうのでした。
キムが彼を心配して、屋敷を訪れると驚いたことにジムも屋敷にやってきたのです。
ジムは彼女がエドワードの身を案じていることが気に入らず、嫉妬に狂ったあまり彼女を殴ったのでした。
そんなジムを許せなかったエドワードは思わずジムを殺してしまいます。
そして彼とキムはもう会えないことを悟り最後にお互いの気持ちを明かすのでした。
それからクリスマスの時期になると街には雪が降るようになったのです。
みどころのポイント
この作品の見どころをいくつかご紹介したいと思います。
まずはエドワードを演じたジョニー・デップの素晴らしい演技です。
実は、エドワードは非常に口数の少ないキャラクターなんです。
それにもかかわらず、ジョニー・デップは彼の感情を視線や表情、そして身振り手振りを駆使して見事にしています。
これには流石としかいいようがありません。
ジョニー・デップの演技だけでも一見の価値は十分あると言えるでしょう。
そして、ティム・バートン監督の代名詞ともいえるメルヘンチックで幻想的な世界観。
なかでも、印象的だったのがエドワードが氷をカットして天使の氷像を彫って雪を降らせるシーンです。
季節は、クリスマスでペグたち一家もクリスマスの準備に取り掛かっていました。
キムがふいに窓の外を見れば、雪が降っていたのです。
外に出てみれば、雪だと思っていたものは彼が彫っている天使の氷像のかけらでした。
氷の破片はまるで雪のように舞っていてとても幻想的で綺麗でした。
これは、彼なりのキムに対する愛情表現なんです。
実はこの後に彼女に抱きしめてと言われたエドワードはそれを拒みます。
彼が触れてしまえばキムは傷ついてしまうし、何より彼女を傷つけてしまったことで自身が傷つくことを恐れていたからでした。
切なくて美しいこのシーンは必見です。
そして、やはり最大の見どころといえばキムとエドワードの恋の行方でしょう。
彼は、あまりにも純粋すぎました。
彼は人間の世界で暮らすには心が綺麗すぎたのです。
なぜならペグたち一家の人々は皆いい人達でしたが、なかにはそうではない悪い人間もいたからです。
ジムやジョイスなどから人間の醜悪さ、欲深さからくる悪意に晒されてもそれでもなお一人の女性を愛し抜こうとしました。
ですが、その結果として一人の人間を殺めてしまうことになってしまったのです。
その事件以来エドワードとキムは二度と会うことはありませんでした。
それから、毎年クリスマスの季節になると彼がキムのために雪を降らせるようになるのです。
純粋で優しい人造人間と比べれば比べるほど、人間とはいかに欲深く汚い生き物であるかがありありと描かれていて、理性を失い自らの欲に翻弄されればその結果として身の破滅を呼びかねないという説話的なメッセージが含まれているようにも感じました。