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映画【マルコムX】の評価・あらすじ

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【マルコムX】の作品情報(スタッフ・キャストなど)

マルコムXは1992年にアメリカで制作公開された映画です。

主演はアカデミー賞など数々の賞を受賞しているデンゼル・ワシントンさんとなっています。

監督は論争の種になるような社会問題作を扱うことで有名なスパイク・リーさんです。

本作品は実在の人物であるマルコムXの共著自伝を元に作られました。

マルコムXは、キング牧師と並び著名な黒人解放運動指導者の一人です。

この作品は現在でも論争の的になるほどで、ニューヨーク映画批評家協会賞などいくつかの賞も受賞しています。

あらすじ解説

概要としては一介のチンピラに過ぎなかったマルコムが様々な出会いの中で自らの信念に葛藤を抱きながらカリスマ性を持った黒人解放運動指導者として頭角を現し、暗殺されるまでを描いています。

この作品は大まかに分けて三つのセッションに分かれて構成されます。

第一のセッションでは、マルコムの幼少期から青年期まででギャングに感化されて空き巣などの悪行にのめりこみ逮捕されて刑務所へ入るまでです。

幼少のマルコムは厚生施設で真面目に勉強して弁護士になることを夢見ますが、教師に黒人が弁護士になることは出来ないと告げられます。

怒りを覚えながら列車の売り子として真面目に働くことになりますが、そこでマルコムはギャングに出会い、影響を受けて悪さをし続けることになります。

運悪くか幸いか強盗で逮捕されて実刑10年の判決を受けて刑務所に入ることになるという流れです。

第二セッションは、刑務所内で荒くれるマルコムが受刑者べインズに会ってネーション・オブ・イスラムの存在を知ることになり再度影響されたマルコムは勤勉になって、刑務所内で必死に勉強に励むようになるところまでとなっています。

第三のセッションでは、出獄後にネーション・オブ・イスラムの指導者ムハンマドに会いにいくものの本性に嫌気がさし、ネーション・オブ・イスラムと決別したうえで、それまで頭になかった白人との宥和政策を主張し、暗殺されるまでとなっています。

出所したマルコムはネーション・オブ・イスラムの指導者に会いに行き、獄中で勉強した知識を元に右腕として働くことになります。

黒人大衆が集まる寺院の演説で成功を収めたマルコムは次第に頭角を現すようになっていきます。

しかし、ここでのマルコムは白人に対して攻撃的で黒人に武装するよう働きかけていました。

マルコムの活躍もあって次第に黒人に対する人種差別への抵抗感が高まっていくようになります。

そのような状況の中、指導者のムハンマドが女性から訴えを起こされるという事件を目の当たりにします。

責任を取ろうとしないムハンマドの態度に嫌気がさし、新たな道を模索することにしました。

サウジアラビアのメッカを訪れあらゆる人種が排斥されないという姿に感動し宥和政策へと考えを改めることにします。

しかし、1965年に演説中に暗殺されてしまいます。

みどころのポイント

見どころは、まずは何といってもデンゼル・ワシントン演じるマルコムXと本物のマルコムXが非常によく似ている点でしょう。

写真で比較するとどちらがどちらなのか分からなくなる程です。

ただ、単に似ているというだけでなく、思わずのめりこんでしまうような迫真の演技が最初から最後までてんこ盛りで、全く飽きずに見終えてしまいます。

カリスマ性を徐々に兼ね備えていく成長ぶりと名演説にはきっと胸を打たれるはずです。

とにかく主役の魅力に魅了されます。

流石は現在に至るまでいくつもの名誉ある著名な賞を受賞しているデンゼル・ワシントンと言うところですね。

マルコムに対する資料をしっかり読み込み知識を蓄えて役作りに活かしたと言われています。

チンピラマルコムも過激思想活動家マルコムも穏健思想活動家マルコムも全て感情移入出来るもので魅力的です。

やさぐれマルコムもきりりと引き締まった表情のマルコムも良いです。

ストーリー展開も実在の出来事を再現したとは思えないほどドラマチックです。

若干の脚色はあるのでしょうが、不良少年・青年からやや過激な知性派青年に転向して活動の場を変え、さらに葛藤して平穏な活動家へと転向する、このような波乱万丈な人生を短い時間で見事描ききっています。

自分がマルコムと同じような立場であったら勉強を続けられるであろうか、ギャングに陥らないであろうか、見るものに考えさせます。

ギャングに陥ったマルコムの言動も何故か憎めなかったりします。

刑務所で荒くれるマルコムにも当然の言動とも思わせます。

それどころかギャングのリーダーにすら魅力を感じる方もいらっしゃるかも知れません。

わき役もしっかりしているので魅力的です。

宗教の魅力を伝える刑務所仲間のべインズにも神聖な何かを信じている者の魅力を感じます。

出獄後に白人に対して排外的な思想を持っていたのも当たり前と感じさせるおぜん立てがしっかり張られています。

しかし、それでも違和感や葛藤を感じ最後は宥和という新たなる境地へとたどり着く、そこで暗殺されてしまう、なんともドラマチックな展開でありながら本当にあった一人の人間の人生です。

暗殺された後の子どもたちや人々のマルコムXに対する想いがまた、胸を打つことでしょう。

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