【ビッグフィッシュ】の作品情報（スタッフ・キャストなど）
「ビッグフィッシュ」は2003年に制作されたアメリカのファンタジー映画です。
監督はティム・バートンが務めました。
ファンタジックな映画を得意とする監督です。
映画は同名の小説をもとに脚本のジョン・オーガストがストーリーを脚色してまとめています。
主演はユアン・マクレガーとアルバート・フィニーの二人です。
新進気鋭の若手俳優と俳優界の大物との共演で話題を呼びます。
そして、音楽はダニー・エルフマンが務めました
あらすじ解説
ジャーナリストのウィル・ブルームは出産を控える妻ジョセフィーンと暮らしていました。
彼の父親の名前はエドワード・ブルームで、父は自分の昔話をするのが好きです。
その昔話はどれも奇想天外なもので、ウィルも父親の話を聞くのが好きでしたが、年齢を重ねるに連れていつしか父の話が作り話であることに気づき、素直に楽しめなくなっていました。
エドワードはウィルの結婚式でも作り話を披露します。
それは息子が生まれた日に巨大な魚（ビッグフィッシュ）を釣ったときの話で、招待客を楽しませましたが、そんな父の姿に息子は激怒。
今日の主役は自分だったはずなのにと不満を爆発させてしまい、この日から父と息子は疎遠になってしまいました。
ある日、母親のサンドラからエドワードが倒れたと聞きます。
主人公は妻と一緒に実家へと帰りますが、父親は病床でもいつものように語り始め、あきれてしまうウィル。
父の荷物を紐解いていると中から古い書類を見つけます。
そこにはジェニファーという女性の名前があり、父親の過去を聞くためにその女性に会いに行くのです。
ジェニファーが住んでいたのはおとぎ話に出てきそうなお化け屋敷風の家でした。
ジェニファーの話を聞いていると、これまでほら話と思われた父の話に実は真実が含まれていることを知ります。
そして父は多くの人に愛され、自分も愛されていることを知るのです。
ウィルはエドワードと向き合うことを決意します。
父親の家に戻ると、病床で父から彼の人生を聞きます。
エドワードは幼い頃からひとを幸せにすることが大好きでした。
彼はその人生のなかで大男とあったり、サーカスに入団したりしながら、ついには妻となるサンドラに出会います。
そして信じられないようなプロポーズの話まで聞くのです。
エドワードは人生を語り終えると亡くなります。
父の葬式にはエピソードに出てきた大男やサーカス団などが参列し、ほら話ではなかったことが明らかになりました。
ただし、エドワードの話に出てきた人々はちょっと誇張されていたことも分かります。
ウィルは葬儀の場で母親から頼まれ、スピーチを行います。
それは父親が語っていたほら話の続きでした。
以上があらすじになります。
みどころのポイント
ビッグフィッシュは夢と現実が混じっているような世界を描いた作品です。
父親エドワードの語る話は実際のエピソードというよりもおとぎ話に近いような話です。
実際にこういうひとは多くいるでしょう。
よく話を盛ってしまうタイプです。
話はおもしろいんだけど、実際に起ったこととはちょっと違う話をしてしまう、その意味でエドワードはちょっと変わり者な人物だといえます。
ウィルは幼いころ、父親の話を聞くのが大好きでしたが、年をとるにつれて話を聞くのが苦痛になってきます。
ジャーナリストであるウィルにとって、話を盛ったり嘘をついたりするのは許せなかったのかもしれません。
また、大人になるにつれておとぎ話を楽しむような感性が失われてしまったのかもしれません。
そこで父親が倒れたと知らされて、思いがけなく父親と向かい合うことになるのです。
実はビッグフィッシュは監督のティム・バートンの実際のエピソードとも関わっています。
実は映画の前年に父親を亡くしており、同年には子供も生まれて、これは監督自身の物語とも言われています。
映画のテーマはずばり「父と子の和解」になっており、それは監督の人生と照らし合わせるとより深いものが見えてきます。
映画のビジュアルイメージにも注目してみましょう。
エドワードの語る回想シーンは非常に鮮やかな色調で、監督が得意とするファンタジー性が全面に出ています。
一方で現実のシーンは非常に静かで落ち着いた画面構成になっており、回想シーンはウソのように華やかで、現実のシーンはリアルで、といった対比がうまく演出されています。
音楽はダニー・エルフマンが手がけていますが、ここも回想シーンと現実のシーンで曲調が使い分けられており、アカデミー賞作曲賞にノミネートされました。
このように映画は嘘と現実の2つが平行して語られますが、物語のクライマックスには嘘と現実が混じってしまうようなストーリーになります。
まさに夢だけど夢じゃなかったという展開です。
映画を見終えると、人はなぜフィクションを語り、フィクションを楽しむのか、といった物語それ自体に対する考え方が深められるでしょう。
もちろん父親と息子の和解もとても感動的です。
