【第9地区】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
「第9地区」は2009年に公開されたSF映画です。
アメリカ・南アフリカ・・ニュージーランドで制作されました。
上映時間は111分です。
監督と脚本を務めたのはニール・ブロムカンプです。
プロデューサーのピーター・ジャクソンに見出された監督で、この映画の成功後、米国の大作映画を監督することになります。
キャストは知名度の低い俳優が起用されており、主人公はシャールト・コプリーが演じました。
全米公開後、初登場1位を記録するなどスマッシュヒットした映画です。
あらすじ解説
1992年、南アフリカのヨハネスブルグの上空に突如として宇宙船が飛来します。
上空で静止した宇宙船からの応答はなく、人類は固唾をのんで見守っていました。
ほどなくして宇宙船の調査に向かうことが決定。
知的生命体とのファースト・コンタクトに世界中の期待が高まりますが、船内で調査隊が発見したのは宇宙船の故障とリーダーの死亡により難民となったエイリアンたちでした。
エイリアン難民たちの処遇をどうするか会議が行われ、エイリアンたちは地上に移り隔離されることに決定します、ここは「第9地区」と呼ばれました。
第9地区では国家間による厳格な監視体制が敷かれますが、外見も言語も違う難民たちと人間たちの間には諍いが頻発します。
難民たちは海老に似た外見をしていたため海老は彼らを指す蔑称にまでなりました。
時は流れて28年後、エビたちは第9地区から第10地区に移送されることが決定します。
MNUと呼ばれる機関に属するヴィカスはその任務に従事していました。
しかし、エイリアンの家で見つけた謎の液体を被ってしまうことで、彼の体は徐々にエイリアンの体に変化していることに気づきます。
これを知ったMNUはヴィカスを死亡扱いにし、人体実験を行おうとします。
半人間半海老となったヴィカスは研究所を脱出し、第9地区に逃げ込みました。
そこでジョンソンに出会い、謎の液体は宇宙船の燃料だったことを知らされるのです。
ジョンソンは液体を取り戻せば元の体に戻してあげると提案します。
ヴィカスはそれをのみました。
MNUに潜入して見事に液体を奪取した二人ですが、ヴィカスが体を戻そうとするとジョンソンから3年待ってほしいと言われます。
仲間を助けるためには3年待つ必要があるようです。
約束が違うじゃないかとヴィカスは逆上、クリストファーを殴り倒して司令船を奪います。
さらにはヴィカスは宇宙船に乗り込もうとします。
しかし、司令船にいたクーバス大佐によって撃墜され、二人は捕まってしまうことに。
このあと二人はどうなってしまうのか、ヴィカスは元の体に戻れるのか、人間とエイリアンの戦いが始まろうとしています。
以上が2009年の映画、「第9地区」のあらすじです。
みどころのポイント
この映画は社会風刺が効いている映画です。
舞台は南アフリカのヨハネスブルグですが、ここはかつてアパルトヘイトと呼ばれた人種隔離政策が行われた土地柄です。
人種隔離政策とはヨーロッパ系の白人と、原住民である黒人の居住区などを隔離した政策で、人類の負の遺産と呼ばれています。
最近になるまでアパルトヘイトは続いており、映画は南アフリカを舞台にすることで当時の忌まわしい記憶を蘇らせようとしています。
普通ファースト・コンタクトものというと、人間よりも優れていて強い宇宙人たちと、人間たちとの交流や戦いが描かれるものが多いですが、第9地区はかなり変わった設定です。
エイリアンたちは難民となって地球に来ています。
エイリアンは強くもなく、映画の中ではそれほど賢くもありません。
むしろ弱々しい姿で登場します。
人類ははじめは宇宙人におびえていましたが、そんな彼らの弱々しい姿を見ると突然差別する側になります。
姿かたちや言語が異なる人類と宇宙人には当然軋轢が生じますが、それをこんなにリアルに描いているものはないでしょう。
主人公もまたエイリアンたちを海老と呼んで忌み嫌っていましたが、謎の液体を浴びて、半分人間半分海老のハーフになることで、ある意味人間と海老の橋渡しのような役を徐々に担っていきます。
エビたちはとても奇妙な外見をしていてコミュニケーション不可能に見えますが、ストーリーが進むにつれて徐々に絆のようなものが生まれてきました。
しかし、そこは小狡いエイリアンたちで簡単にはいきません。
ヴィカスはエイリアンに裏切られもするのですが、人間たちは人間たちで海老や自分に対して無慈悲な攻撃を加えるなかで、彼は海老のために戦うことを決意するのです。
この一連のシーンはとてもコミカルであり、考えさせるものになりました。
ヴィカスはハーフになったことで、人間と海老のどちらかにつくか引き裂かれています。
さて、この映画は制作費がそれほど多くないものでしたが、考え抜かれた設定と見事なSFアクション要素で世界中で大ヒットしました。
最終的に世界中で2億ドルの興行収入を稼ぎ出し、エンディングが次回作を予感させるものだったため、続編の期待も膨らんでいます。