【キンキーブーツ】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
「キンキーブーツ」は2005年にイギリスとアメリカで制作されたコメディ映画。
実在の紳士服メーカーをモデルにしており、経営難に陥った靴工場の再起を描いた映画です。
上映時間は107分、監督はジュリアン・ジャロルドが務めました。
脚本はティムファースとジェフ・ディーンの共同脚本です。
出演者はイギリスの俳優が中心で、主役をジョエル・エドガートンとキウェテル・イジョフォーが演じ、他にはサラ・ジェーン・ポッツやニック・フロストなどが出演しています。
あらすじ解説
イギリスのある桟橋の上で、少年がハイヒールを履いて踊りだしました。
その様子を見た老人は窓から注意します。
別の少年が登場し、家の靴工場を継ぐよりサッカーの方が好きだといいます。
二人の少年たちは成長して大人になりました。
チャーリープライスはイギリスの伝統ある靴工場の跡取りです。
しかし靴工場を継ぐプレッシャーからロンドンに移住する計画を立てていました。
ロンドンに着くとほどなく父の訃報を知らされます。
そしてロンドンからとんぼ返りし、結局は靴工場を継ぐことになるのです。
彼がはじめに取り掛かったのは工場の経営状態を知ることでした。
財務状況を見てみると工場は倒産寸前だと知ります。
自暴自棄になった彼は酒に酔った勢いで、チンピラに絡まれている美女ローラを助けようとしますが、あろうことか美女から強烈な一撃をもらい気絶します。
目が醒めると美女の部屋でした。
ただし美女だと思われた人物は男性で本名はサイモンといいます。
彼はドラッグクイーンとして活躍していました。
この二人が桟橋にいた少年たちです。
ドラッグクイーンにはある悩みがありました。
それが衣装で、ドラッグクイーン用のハイヒールは女性用のものしかなく、サイモンのような大きな身体を支えることはできません。
この話を聞いてチャーリーは思いつきます。
さっそく靴工場に戻ると、社員のローレンをサポートとしてサイモンのためのハイヒール作りに着手します。
さらには彼がニッチ産業と考えた女性用の紳士靴の開発を開始するのです。
試作品が完成して、女装をしたローラ(サイモン)に履かせると彼女はなぜか激怒。
その靴は機能性は良かったもののデザインがあまりにも古臭いものでした。
老舗の靴ブランドであるチャーリーやスタッフにとって、最新の流行は分かりません。
そこでローラをアドバイザーとして新商品の開発を行います。
試作品を作っても作ってもローラはうんと言いません。
チャーリーが新商品の開発にかかりきりになってしまうことで、結婚予定のニコラとの関係も悪化します。
ついにローラを満足させる靴を完成させますが、それをミラノの見本市に出品すると打診すると、事態はさらに悪化します。
彼らの運命はどうなるのでしょうか?
みどころのポイント
キンキー・ブーツ(KinkyBoots)とはセクシーで危険な女物の履物のこと。
主人公のチャーリーは自分の靴工場の再起をかけて、ドラッグクイーン用の靴を製造することにします。
もう一人の主人公であるローラ(サイモン)はそれを手伝うのですが、この映画は二人の主人公の対称的な生き方がおもしろい作品です。
まず靴工場のチャーリーはレールが決まっている人生です。
彼はサッカー選手になることが夢でしたが、跡取り息子なので進む道は決まっていました。
物語の冒頭、彼はイギリスのロンドンに半ば逃げるような形で向かいます。
これは、まだ自分の進む道を決められないモラトリアムの表現になっています。
反対にローラは自分の好きなように生きている人生です。
彼女は幼い頃からハイヒールで踊っており、それは周囲の人間に白い目で見られても構いません。
ついにはドラッグクイーンにもなってしまいます。
自分のやりたいように生きている人間と、自分の進む道が決められない人間、この二人がもう一度出会うことで物語は始まるのです。
ローラに出会うことでチャーリーは徐々に変わっていきます。
はじめは成り行きで工場を任されましたが、新商品の製作に命を賭けます。
それを支えるのがローラです。
まるでラブロマンスのように描かれています。
ローラにとってもミラノの見本市は晴れの舞台です。
ミラノのランウェイを歩くのはファッションに関心があるなら夢のような舞台といえます。
ただ、彼女はチャーリーにためにランウェイを歩くことを提案します。
その頃には二人の間には確かな友情が芽生えており、ミラノで行われるランウェイショーは映画の一番の見所となっています。
そして二人の関係は思わぬラストを迎えます。
ちなみに「キンキー・ブーツ」は実在の靴メーカーをモデルにしていることで有名です。
イギリスは当時不況が続いており、靴メーカーもまた倒産が相次いでいました。
イギリスには失業や不況を題材にした映画が多いですが、この映画も不況からの再起を描いています。
逆境のなかでも信頼のできる仲間と、少しの知恵と勇気があれば立ち向かえることをこの映画は教えてくれます。
コメディ映画なので気分が落ち込んでいるときや勇気をもらいたいときに見たい映画です。