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映画【ペイフォワード】の評価・あらすじ

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【ペイフォワード】の作品情報(スタッフ・キャストなど)

ペイフォワードは2000年10月20日にアメリカで公開、ディープ・インパクトを手掛けたミミ・レダー監督の作品です。

原作はキャサリン・ライアン・ハイド、脚本はヘアスプレーを書いたレスリー・ディクソンで、人から受けた善意を他の人に回すというテーマの映画です。

キャストはシックスセンスで11歳ながらアカデミー助演男優賞にノミネートされ天才子役と言わしめたハーレイ・ジョエル・オスメント、ユージュアル・サスペクツ、アメリカン・ビューティーなど多数の作品で映画賞を受賞した名優ケヴィン・スペイシー、映画だけでなくテレビ作品でも活躍しているヘレン・ハントです。

あらすじ解説

ラスベガスに住む中学1年生11歳の少年トレバーはアルコール依存症の母アーリーンと、彼女に日常的に暴力を振るい家を出たまま音信不通の父リッキーとの3人家族。

新学期になり社会科の最初の授業で、担当のシモネット先生に「もし自分の手で世界を変えたいと思ったら、何をする?」という課題を与えられ、トレバーは「ペイ・フォワード」という「善意の連鎖」を思いつきます。

「ペイ・フォワード」とは、自分が受けた善意をくれた人に返すのではなく、別の3人に渡すというものです。

そうすれば、やがて世界中に善意の連鎖が広がるはずだと彼は考えました。

トレバーはこれを実践しようと相手の3人を探しました。

まず薬物中毒のホームレスのジュリー。

彼を社会生活に戻すため、家に招き入れ食事を与え、就職の為に身なりを整えるためのお金を渡しました。

次にシモネット先生。

シモネット先生は子供の頃に父親から受けた暴力により顔を大やけどしていました。

このせいで恋愛にも消極的になっていましたが、シモネット先生と母親のアーリーンをくっつけて幸せになってもらおうと考えました。

そして3人目はいじめられているクラスの同級生。

しかしいじめっ子を相手にするのが怖くてなかなか行動に移すことができませんでした。

また、お金を渡したホームレスのジュリーは再び薬物に手を出し、シモネット先生とくっつけようとした事がばれたことでアーリーンに叩かれ、「ペイ・フォワードは失敗だったのではないか」とトレバーは思い始めました。

しかし、トレバーの気づかないところで、「善意の連鎖」は広がっていました。

のちに立ち直ったジュリーは自殺しようとしていた女性を助け、その女性に「次に繋げ」と伝えていたのです。

ある日巡り巡って善意を受けた記者クリスが「善意の連鎖」の元を探そうとたどっていました。

そしてついにトレバーを見つけインタビューをお願いします。

学校で「ペイ・フォワード」についてインタビューを受けた後、トレバーはいじめられっ子がまたいじめられているところを見かけます。

インタビューで勇気について語ったトレバーは、自分の言葉を思い出し、いじめられっ子を助けに向かったのでした。

そして…。

みどころのポイント

この世の中には耳を疑うようなニュースや事件が溢れています。

そのたびに「今の世の中は腐っている」と思う人、「自分になにか出来たのではないか」と思う人、「自分ひとりではどうにもできない」と思う人。

いろいろな感情がうごめきますが、だからと言って「何か」をする人は少ないと思います。

そういう人々にトレバーが掲げた「ペイ・フォワード」を知ってほしいと思いました。

自分の力では世界を変えることはできない。

でも、自分の行った善意が世界に広がれば世界はもっと良くなるはず。

そんな可能性を教えてくれる映画です。

映画の中身としては、全体を通すとなんだかファンタジー映画を見ているような感覚でした。

悲しいことに自分が大人であるという事なのかもしれません。

小さな善意ひとつで世界が変わるわけがないという考えがあり、トレバーのアイディアは所詮夢物語でしかないと思っていたからです。

しかし、映画を通して各々の人物像を追っていくと立派なヒューマン・ドラマだとわかります。

シモネット先生は子供の頃に受けた虐待の為、どこか人間嫌いで人との距離を置いて生きていましたが、トレバーの課題を通しトレバーの世界を見つめる純粋な目に触れ、じわじわとトレバーやアーリーンに心を開いていきます。

また、アーリーンもアル中で暴力を振るう夫を断ち切れずにいましたが、トレバーの「母親に幸せになってほしい」という純粋な気持ちにより、暴力夫に別れを告げ、シモネット先生に次第に好意を寄せていきます。

そんな各々の心の変化が物語の軸として描かれています。

一人の少年の純粋な善意が身近の人々の気持ちを変え、そしてまた彼らの善意が広がっていきます。

世界を変えるという事は、自分の身近な人たちを変えるということなんだなと思い知らされます。

そして、この物語には衝撃なラストが待ち構えています。

このようにする必要があったのか、映画を見た後になんともやるせない気持ちになります。

このラストについて監督は語っています。

「この結末である必要があった。

なぜなら家族愛を描いた作品ではなく善意と暴力がテーマだから。

ハッピーエンドではなくそれが人生というもの。

」このラストがこの映画をファンタジーではない、悲しい、でも感動的なヒューマン・ドラマにしているのかもしれません。

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