【25時】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
「25時」は2002年に公開されたアメリカの犯罪映画です。
スパイク・リーの監督作品で、主演はエドワード・ノートンが務めました。
共演はフィリップ・シーモア・ホフマンやバリー・ペッパーなどです。
この映画には原作があり、原作者はデイヴィッド・ペニオフという作家です。
彼が映画の脚本も務めました。
上映時間135分の映画は約500万ドルという低予算で作られましたが、最終的な興行成績は2000万ドル以上と約4倍の売上を達成しています。
あらすじ解説
舞台はニューヨーク、主人公のモンゴメリー・ブローガンはモンティという愛称で知られる人物。
その日は仲間のコースチャとノボッツィと車を走らせていました。
すると道端で倒れている犬を発見します。
全身にケガをしていて今にも息が絶えそうです。
モンティは「このまま苦しんで死ぬのはかわいそうだ」といって仲間の銃を貸してくれといいます。
3人は商売仲間を待たせているところだったので、一人はこんなことをしている暇はないと言いましたが、主人公は聞く耳を持ちません。
殺そうとしたそのとき、犬は起き上がって吠えだしました。
その生命力に感心した主人公は「殺さない」といって犬を車の中においてあげるのでした。
それから数年後、早朝の公園ではあの犬がモンティの側にいました。
散歩をしていると麻薬中毒者が現れ麻薬を売ってくれと頼みます。
軽くあしらった主人公でしたが、なおもすがりついてきます。
主人公は自分はもう近いうちに投獄されるから麻薬は売れないと意味深な言葉を残し、公園をさりました。
彼は犬を連れて母校のコヴェントリー高校へと足を運びます。
ここには親友のジェイコブがおり、彼は英語教師をしていました。
学校のギャラリーには学校が獲得したメダルやトロフィーなどが陳列されており、その中にはバスケットボールで表彰された主人公の姿も飾られていました。
彼はジェイコブの授業中に乱入し、自分の予定を伝えて帰っていきます。
あっけにとられるジェイコブでしたが、そこに教え子のマリーが来ます。
マリーは自分の試験の成績に納得がいっていない様子で彼に詰め寄りました。
教師を誘惑するような目で見るマリーに対してうろたえる英語教師でしたが、評価は絶対に変えないと伝えると彼女は帰っていきました。
ウォールストリートではフランクが上司から株を売れと言われますが、うまく逃れて売らないことに成功します。
周囲の人間にも売ったほうがいいと言われているそのとき、テレビでは彼が集めていた株が急騰したというニュースが流れます。
フランクはニヤリと微笑みました。
モンティがアパートに帰ると恋人のナチュレルが待っています。
話をせがんでいる彼女でしたが、実は主人公を警察に売った張本人だとモンティは思っていました・・・。
みどころのポイント
映画はモンティが過ごす25時間のことを描いています。
彼はすでに麻薬の密売容疑で逮捕が決まっており、刑務所で7年間過ごすことも確定していました。
映画はその前の25時間を描いているわけです。
彼にとっては地球最後の一日に等しいのですが、その一日をどのように過ごすのかが映画のみどころです。
犬のエピソードが象徴的ですが、はじめ彼は自暴自棄になっており、早く楽になりたいと思っている節があります。
それが犬を銃殺しようとしたエピソードに反映されています。
しかし、犬の生命力を見て考えを改めます。
それから数年後に捕まってしまうのですが、そのときには彼は少し変わっており旧友を訪ねたりしながら最後の25時間を過ごそうとします。
「25時」というタイトルにはある仕掛けもあります。
一日は24時間です。
24時から25時への1時間はサッカーでいうロスタイム(余った時間)のような存在です。
この1時間でモンティはある重要な行動を取りますが、それが映画の大きな狙いでありテーマになっています。
この1時間にどんな行動を取るのか、注目して見てください。
映画はとても芸術的なものになっています。
監督のスパイク・リーはアフリカ系アメリカ人のなかでももっとも有名な監督の一人で、今までに数多くの映画祭で受賞を果たしています。
映画にはクラブのシーンで女学生のマリーが踊るところがあるのですが、このシーンは撮影が独特です。
周囲が踊っているところを、まるでスラロームしているようにマリーは踊っていきます。
カメラは彼女に固定されていますが、映像はとても神秘的かつ芸術的です。
このほかにも映画は淡々と静かに進みますが、撮影や構図が美しくニューヨークの町並みがきれいに映されています。
「25時」は2002年に公開された映画ですが、公開の直前には世界貿易センタービルのテロ事件が起こりました。
監督は事件を映画に取り入れるため、事件現場のグラウンドゼロを挿入したり、追悼の場面があったりと、あのテロ事件を真正面からとらえた作品にもなっています。
そのためニューヨークの美しい風景と共に、悲しい事件の傷跡を見せるシーンもあって対比が見事な映像作品に仕上がっています。