【交渉人】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
「交渉人」は1998年に公開されたアメリカのクライム映画です。
監督したのはゲイリー・クレイで、映画監督をするほかミュージックビデオの監督など多方面で活躍している監督です。
主演はサミュエル・L・ジャクソンとケヴィン・スペイシーの二人で、どちらも人質交渉人役を演じています。
物語が二転三転する複雑な脚本をまとめ上げたのはジェームズ・デモナコとケヴィン・フォックスの二人、緊迫感あふれる音楽はグレーム・レヴェルが作曲しています。
あらすじ解説
シカゴ警察で働くダニー・ローマンは人質交渉人という特殊な任務についていました。
その日も人質立てこもり事件が発生し、交渉に向かいます。
彼は巧みな話術と大胆な決断力を武器にする交渉人です。
犯人は自分の娘を人質にしていました。
要求は自分の妻を呼ぶこと。
特殊部隊SWATの隊長のベックは説得を諦め突入しようとしますが、フロスト警部からダニーを信じてもう一分待とうと説得されます。
ダニーは犯人の部屋に入り、持ち前の話術で犯人を窓に誘導すると、隙が生じて人質を確保することに成功しました。
すぐさま彼は狙撃手に指示を出し、犯人は打たれて逮捕されます。
犯人逮捕の夜、警察署ではトラヴィス署長の誕生パーティーが開かれていました。
パーティーではニュースが流れ、昼の立てこもり事件が報道されます。
ダニーの活躍に拍手が起こる署内。
ただ、ベックだけは不穏な表情をしています。
ベックには部下を危険にさらした彼の行動が気に入りません。
言い合いを始めた二人でしたが、そこに相棒のネイサンがやってきます。
ネイサンはダニーを呼び出し、警察の年金を誰かが横領している疑いがあることを話します。
しかも内務捜査局も関係しており、容疑者にテレンスの名前が挙がっていると告げるのです。
二人は別れて、ダニーは愛する妻の家に帰ります。
妻カレンは彼の仕事を心配しており、今日も不安だったといいます。
そうしていると彼のもとに連絡が入ります。
ネイサンからのポケベルです。
ネイサンから公園で待っているという連絡を受け取り、公園に行くとネイサンは何者かに殺されていました。
ダニーが遺体を見つけると、まるで見計らったように警官たちがやってきます。
彼は仲間が撃たれたことを告げて警察署に向かいました。
警察署にはフロストとニーバウムがいます。
ダニーは年金横領のことを話しましたが、取り合ってもらえません。
数日後、彼の家にフロストとニーバウム、トラヴィス署長が来ていました。
ネイサンを撃った銃が彼の家にあると言うのです。
彼は家宅捜索を受け入れると、捜査官が海外口座を見つけます。
全く身に覚えがない預金明細でした。
ダニーはすぐにネイサン殺しの容疑者として連行されます。
濡れ衣を着せられた彼は脱走して立てこもり事件を起こします。
彼の要求はある交渉人を呼ぶことでした。
交渉人と交渉人の勝負が始まります。
みどころのポイント
交渉人(ネゴシエーター)とは立てこもり犯に対して、犯人と交渉し事件を解決に導くことが役割です。
交渉人には心理学や犯罪学の知識が必要とされ、ハイジャック事件や籠城事件など大きな事件に必要とされます。
主人公のダニーはこの道のプロですが、ある日、見に覚えのない犯罪を着せられてしまいます。
相棒は殺されて、犯罪の証拠も捏造されて絶体絶命。
そこで4人を人質に立てこもり、無実を訴えます。
交渉人のみどころは、ここでもう一人の交渉人と駆け引きをする展開になることです。
ダニーの目的は2つです。
まずは自分の無実を証明すること、もう一つは真犯人を探すことです。
ただし、ダニーは自分が無実であることを知っていますが、もう一人の交渉人のクリス・セイビアンはもちろんダニーを犯人と思っています。
しかし、ダニーと話すなかで徐々に真実が明らかになっていくところが、映画のおもしろいところです。
映画の宣伝文は「IQ180の駆け引き」ですが、コピー通りの丁々発止が楽しめます。
どちらも話術のプロなので、二人の掛け合いは非常にスピーディで知性的です。
ダニーは行動力と勇気で真相を暴いていくタイプで、ときには感情的になります。
一方、クリスは常に沈着冷静です。
理詰めで相手を追い詰めていくタイプで、ダニーも彼の鋭い追及によって追い詰められます。
二人の性格は対称的でそれもストーリーを盛り上げています。
ミステリーや心理戦、頭脳戦が好きな人にとってはたまらない一本です。
そう説明すると静かな映画と思われるかもしれませんが、映画は大掛かりなアクションシーンも豊富で、エンターテイメント性も高い作品になっています。
天才交渉人を演じたのはサミュエル・L・ジャクソンとケヴィン・スペイシーです。
どちらもハリウッドを代表する映画俳優で、天才交渉人という難しい役どころを見事に演じました。
この二人の会話劇が楽しめることも映画の魅力になっています。
映画が進むとクリスはダニーを少しずつ信頼していき、陰謀の正体に気づいていくのですが、二人の信頼関係が結ばれていくところと、物語の真相が見事に収束して、映画はエンディングを迎えます。
サスペンス性と友情物語が楽しめる一本です。