【インビクタス】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
インビクタスは2009年にアメリカで制作公開された映画です。
監督は俳優としてだけではなく名監督としても名声を築いているクリントイーストウッドさんです。
主演は「グッド・ウィル・ハンティング」などでも有名なマット・デイモンさんです。
音楽にはクリント・イーストウッド監督の息子さんであるカイル・イーストウッドさんも参加されています。
インビクタスの意味は「征服されない」「屈服しない」です。
また、副題は「負けざる者たち」となっています。
あらすじ解説
この映画はノンフィクション作品の小説が元になっています。
大まかなあらすじは、反アパルトヘイト運動の指導者で、南アフリカ共和国の大統領になったネルソン・マンデラさんと、同国のラグビー代表チームのキャプテンとの親交を描くというものです。
反アパルトヘイト運動によって27年という長い月日を監獄で費やすことになったマンデラさんは釈放された1994年に南アフリカ共和国の大統領に就任しました。
しかし、南アフリカ共和国は少数とはいえ白人たちが住んでおり、かつては人種差別によって恩恵を受けていた白人とそうでない黒人との間には大きな壁が立ちはだかっているようにマンデラさんは考えました。
マンデラさん就任によってそれまで勤めていた白人職員が一斉に辞めようとするなどします。
また、経済の要衝には白人が多数就いているようでした。
経済格差も白人と黒人とでは異なり、黒人の待遇は低いものでした。
そのような状態を目の当たりにしたマンデラさんは、弱小だった南アフリカ共和国代表のラグビーチームであるスプリングボクスの再建することで国民を一体化することは出来ないかと考えるようになります。
自国で開催されるラグビーのワールドカップに向けて、白人チームであるスプリングボクスを存続させることにします。
マンデラさんとチームキャプテンであるピナールは互いに協力していくことにします。
マンデラさんは当時黒人たちに特に不評だったラグビーの良さをピナールさんたちが所属するチームとの交流によって黒人たちにも伝えたいと考えました。
黒人少年たちとラグビーチームは交流します。
黒人と白人のスポーツを通じた交流で徐々にわだかまりを解消出来るのではないかと考えたのです。
徐々にチームの人気は高まっていき、チームもだんだんと力をつけていくようになります。
ワールドカップが開幕し、スプリングボクスは準決勝まで勝ち残っていきます。
そしてとうとう準決勝にも勝ち残り、決勝へ進出を果たします。
決勝では6万人もの観衆に囲まれ賑わいを見せています。
相手チームは強豪のニュージーランド代表オールブラックスでした。
一進一退を続け延長戦へ突入します。
そして好機にめぐまれたスプリングボクスは勝負に出てとうとう勝利します。
勝利を告げるホイッスルがなり響く中、南アフリカ共和国の人たちは一つとなったのでした。
みどころのポイント
見どころは何と言っても出す映画、監督する映画に外れなしのクリントイーストウッドさんが監督を務めているだけあって最後には胸が熱くなるような展開となっている点でしょう。
実際にあった出来事を映画にしているのですが、白人と黒人のわだかまりのある対立構造や、当時抱いていたであろう黒人、白人の心情もよく再現されています。
白人と黒人が一体感なく生活している雰囲気もよく演出されていると感じられるはずです。
マンデラさんを演じているモーガン・フリーマンさんの演技も秀逸で本当のマンデラさんとそっくりです。
フランソワ演じるマット・デイモンさんはちょっと影のある主人公という役が板についています。
今作でもはまり役となっています。
大柄で体格に恵まれているという訳ではないのにリーダーという役どころなのですが、内面が外によく出ているようで良いです。
また、今回のキャストはクリントイーストウッドさんの息子さんが二人出ているのも注目すべき点と言えるでしょう。
一人の息子さんであるカイル・イーストウッドさんはこの作品の音楽を担当されています。
もう一人の方はスコット・イーストウッドさんで、スプリングボクスの選手の一人を演じておられます。
スコットさんは目の辺りなどはクリント御父上そっくりです。
スコットさんにとってカイルさんは異母兄に当たるようです。
劇中で読まれる「我が運命を決めるのは我なり、我が魂を制するのは我なり」は英国の詩人であるヘンリーが書いたもので、いかなる運命にも負けないという強い意志が込められています。
ストーリー展開については実際の出来事だけあって若干ドラマチック性は薄いようにも見受けられますが、主人公であるフランソワ・ピナールを中心に心情の変化などは比較的よく描けているように思います。
現在に至るまで見た方の多くが高評価を与えるレビューを見てもそのことは良く理解出来るのではないかと思います。
アパルトヘイトがもたらした黒人と白人とのわだかまりと克服の困難さ、それをマンデラという偉大な人の意思の介在によって徐々に解消へ向かいついに解消が成る、そのような一連の流れをわずか132分という時間の中で見事に描いた作品と言えます。