【ノッキンオンヘブンズドア】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアは1997年に公開されたドイツのロードムービーです。
監督はトーマス・ヤーンが務めました。
脚本もティル・シュヴァイガーとの共同脚本です。
ティル・シュヴァイガーは映画の主演も務めています。
もう一人の主演はヤン・ヨーゼフ・リファースです。
本国では大ヒットを記録し、日本では1999年に公開され、こちらもヒットします。
87分という短い上映時間のなかに、人は残された時間でどう生きるのかを描いた映画です。
あらすじ解説
ギャングたちが車に乗ってどこかに向かうところから「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」は始まります。
場面が変わり、主人公のマーチンとルディが登場します。
二人は他人同士ですが、同じ列車に乗り合わせ、二人とも禁煙の車内でタバコを吹かし、さらには同じ病院にたどり着きました。
ルディとマーチンはそれぞれ同時に余命宣告を受けます。
病院で同室になった彼らは会話を交わしました。
奇妙な縁から会話がはずみ、お互いにもう長くないことを話しました。
話題は変わり、これまで海を見たことがないルディは、マーチンから天国には海が流行していて、海を見たことがない人は話についていけないぞ、と話します。
ドイツは陸地で海がありません。
外国に行かなければ海を見ることはできず、ルディとマーチンは海を見るために病院を抜け出して、海を見ることにします。
移動手段のために車を盗み出す二人。
ところがその車はギャングたちのものでした。
車の中にはボスの金が入っています。
ギャングたちは気づき二人を追いかけました。
そうとは知らず、車を走らせる二人。
途中でガソリンスタンドや銀行からお金を盗み出したりもします。
ギャングたちのお金を見つけてからは散財します。
しかし、銀行の監視カメラに彼らの姿はおさめられ、ついに素性がバレました。
二人はギャングに加えて警察からも追われる身です。
二人は追跡をかわしていましたが、徐々にマーチンの病状が悪化します。
死ぬ前に母親に車を贈りたいと話すマーチン。
ルディはその願いを叶えてあげました。
ルディは女性を一夜を過ごしたいと希望します。
ところが、そこにはギャングたちが居合わせていました。
マーチンとルディはついに捕まります。
お金の在り処を聞かれますが、お金は誰かにあげたり散財したりで手元には残っていません。
ボスのカーチスも現れ、絶体絶命かと思われたとき、ボスは彼らの願いを叶えるため開放しました。
ボスは二人の病状を報道で知っていたため、同情して開放してあげたのです。
二人はやっと海にたどり着きました。
砂浜に倒れ込むマーチン、ルディのじっと海を見つめるシーンが映り、映画は終わります。
以上が「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のあらすじです。
みどころのポイント
余命宣告を受けた二人の男、奇妙な縁で一緒になった二人はやり残したことを一つずつやっていきます。
「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」はこの二人が残りの人生をどう生きるのか描いた映画です。
まだこれからというときに余命が幾ばくもないと宣告されたら、どうするでしょうか。
絶望したり落胆したり、自暴自棄になってしまうかもしれません。
二人はちょっとおもしろい行動を取ります。
まずは病院のキッチンに忍び込んで、料理をたらふく平らげます。
食材を使った遊びも行います。
レモンを輪切りにして眼鏡のように目に貼り付けるシーンは作中でもっとも美しいシーンです。
今度は銀行強盗もやってのけます。
知らずにボスのお金も盗んでしまい、お金は散財しました。
二人の破天荒な姿を見るのが前半のおもしろさですが、物語が進んでいくと一人の病状が悪化することでトーンは変わっていきます。
母親に車をプレゼントしたり、二人の絆が深まっていったりと、だんだん感動的なものになっていきます。
最後に海を見るシーンは淡々と進みますが、見終えるとジーンとした余韻が残るでしょう。
笑って感動のできる映画です。
この映画は監督トーマス・ヤーンの努力によって実現しました。
タクシーの運転手をしていた監督は、どうしても映画を作りたくて俳優のティル・シュヴァイガーに脚本を送りました。
ティルは独創的な脚本が気に入って脚本の手直しを行い、スポンサーを探し回ります。
俳優も決まっていきましたが、どうしても大物俳優のルドガー・ハウアーに出演してもらいたいと考えた二人は、交渉してみますがマネージャーから払えないギャラを要求されます。
一度はあきらめた二人ですが、ルドガー本人から快諾があって実現したという裏話があります。
ちなみに、ティルはこの映画に出演したことでスターとなり、ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアは彼の出世作となりました。
映像に目を向けると、色調はとてもダークで深い映像が特徴的です。
深い色彩の映像は主人公二人のロードムービーをとてもスタイリッシュで洗練されたものに仕上げています。
こうした色調はヨーロッパ映画でよく見られ、このトーンがあるから最後の海のシーンもとても感動的です。