【バンテージポイント】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
「バンテージ・ポイント」は2008年に公開されたアメリカ映画です。
デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィテカー、シガニー・ウィーヴァーなどが出演しています。
監督はピート・トラヴィスです。
英国の映画監督で、映画を作る前は社会福祉士をしていた変わり種です。
今回は様々な登場人物が活躍する群像劇という難しい主題を見事に監督しました。
上映時間は90分です。
約4000万ドルで制作された映画は最終的に1億5千万ドルを超えるヒットになりました。
あらすじ解説
スペイン・サマランカではテロ撲滅の国際会議が開かれていました。
その午後0時23分、広場で聴衆を前に演台に立った大統領が狙撃されます、同時にホテルでは爆発が起こりました。
テレビプロデューサーのレックスは中継車にいます。
レポーターのアンジーやカメラマンのルイスに檄を飛ばしていました。
狙撃と爆発事故が起きるとアンジーの死体があり、彼女は呆然とします。
シークレットサービスのバーンズは大統領狙撃の際、左側から狙撃されたところを確認するため、撮影をしていたテレビクルーや旅行客のハワードに映像の提供を求めます。
同僚のテイラーから犯人は西に逃走したと連絡が入りました。
しかしテイラーが警察に扮装している姿を発見するのです。
バーンズはテイラーを追います。
市警察のエンリケは恋人のベロニカがハビエルという不審な男と接触しているのを発見します。
ベロニカから荷物を届けるように言われたエンリケは用事を済ませ広場に向かうと狙撃の瞬間でした。
市長を守ろうとした彼は演台に出て、シークレットサービスと勘違いされます。
そこにベロニカが投げた爆弾が爆発。
エンリケは利用されたと気づきました。
旅行客のハワードはスワレスと会話しながら撮影をしていると少女にぶつかります。
少女の名前はアナで母親とはぐれていました。
彼は警備員に少女を送り届けると刑事が撃たれるところを目撃します。
大統領は事件のとき、実は客室にいました。
撃たれた人間は替え玉だったのです。
事件の2週間前、放射能爆弾の移送計画が判明し、米国はその計画を未然に防ぎましたが、計画の首謀者から大統領の暗殺宣言があったのです。
目まぐるしく登場人物は入れ替わり、ついにテロリストたちの視点となります。
ハビエルを頂点とするグループにはスワレスやベロニカに加えて、テイラー、カメラマンのルイス、ホテルマンのフェリペなどがいました。
スワレスは携帯電話で指示を出し、大統領の潜伏先を割り出します。
映像を見て大統領の遠隔操作での狙撃を決行。
同時に爆発も命じました。
ついに大統領の身柄を拘束すると、彼を運び出します。
救急車を使っての逃走中、目の前に少女が通りかかり、それを避けると車は横転しました。
首謀者はバーンズから射殺され、大統領は無事に保護されて映画は終わります。
みどころのポイント
「バンテージ・ポイント」はスペインの国際会議で起こったアメリカ大統領の狙撃事件と、その前後の経緯を8人の6つの視点を通して明らかにする映画です。
タイトルのバンテージ・ポイントとは、「有利な位置」という意味になります。
6つの視点とは、一つがレックスという女性プロデューサーを中心とするテレビ局の視点、二つ目はシークレットサービスのバーンズの視点、三つ目は市警察エンリケ、四つ目は旅行客、五番目は米国大統領の視点、最後にテロリストたちです。
それぞれの観点からストーリーを進めることで、大統領の暗殺事件をより興味深いものにしています。
事件の全貌が分かったときには思わず膝を打つことでしょう。
物語の進め方にはもう一つの工夫があります。
それがクリフハンガーという方式です。
クリフハンガーとは作劇手法の一つで、映画のなかで盛り上がる場面に中断したり、場面を変えたりする手法のことで、その続きが気になるような効果があります。
「バンテージ・ポイント」は爆発が起きて場面が変わったり、登場人物が謎の死を遂げて視点が変わったりします。
物語のここぞという場面でシーンが変わるので、見ているときはハラハラして飽きを感じさせません。
ストーリーの次が常に気になる引っ張り方です。
さらにはストーリーが進んでいくと、事件のあらましが明らかになっていくので興奮のボルテージはクライマックスで最高潮に達します。
バンテージ・ポイントのクライマックスは6つの視点が一つに合わさるような構成です。
まず、登場人物たちが一堂に会します。
最後のシーンは救急車が横転するところですが、ここで彼らはまるで導かれたように集まるのです。
そして大クラッシュが起こります。
しかし、このクラッシュによって事態は好転し映画は終わるのです。
これは運や偶然によって終わるとも言えますが、映画にはその事故にいたる軌跡が描かれているので、そう簡単に言いきっていいものではありません。
なぜ事故が起こるのか、そしてなぜそこに登場人物たちが居合わせたのかを丁寧に描いているので、無理なところはなくむしろきれいに物語が繋がったような印象を受けるでしょう。
これが映画の狙いでありみどころです。