【死ぬまでにしたい10のこと】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
「死ぬまでにしたい10のこと」は2003年に公開されたカナダ・スペイン映画です。
監督はスペイン人のイザベル・コイシェ監督、脚本も彼女が担当しました。
主演はサラ・ポーリーです。
カナダを代表する女優で、芸術映画から大衆映画まで幅広く出演します。
ちなみに、監督の次回作にも出演しました。
上映時間は106分と短くまとまっており、制作費は200万ドルと低予算です。
しかし映画が公開されると約1000万ドルの大ヒットを記録し、数々の映画祭で受賞も果たしました。
あらすじ解説
舞台はカナダのバンクーバーという街、主人公のアン・マトランドは夫のドンが失業中、二人の幼い娘(ペニーとパッツィー)を抱えて、トレーラーハウスのなかで4人暮らしをしています。
トレーラーハウスがあるのは彼女の母親の裏庭で、母親はパン屋で働き、父親は刑務所にいます。
アンは家計を助けるために夜勤の清掃員をしていました。
同僚のローリーはダイエットにハマる女性で、二人は楽しく働いています。
夫が娘達を学校に送り届けに行くと、アンは一人になり、突然腹痛で倒れてしまいました。
ちょうど母親が気づいて病院に向かいます。
病院の検査は長時間となりました。
娘の送迎を母に頼み、医師の説明を受けます。
彼女の卵巣には腫瘍ができていました。
腫瘍はすでに胃に転移し、余命は2ヶ月から3ヶ月です。
まだ23歳の彼女はショックを受けますが、周囲には貧血だと説明し、病気は隠します。
夫のドンにプール工事の仕事が見つかりました。
ドンはやっと運が向いてきたと上機嫌ですが、それを微妙な表情で見る彼女。
コーヒーショップでアンはノートを取り出し何やら書き付けていきます。
それは死ぬまでにしたいことでした。
まずは娘たちに毎日欠かさずに愛しているといおう、娘たちが気にいる新しいママを探そう、娘が18歳のときになったら見てもらうメッセージを贈ろう、刑務所の父に会いに行こう、彼女は残された家族のことを考えてやりたいことのリストを作成します。
自分に対してのリストも作りました。
まずは家族でビーチに行きます。
好きなだけお酒とタバコも楽しみたいです。
夫以外の男性と付き合ってもみよう、これからは正直になって話そう、ヘアスタイルやネイルを試そう、やりたいことのリストが10個になるとコーヒーショップを出ました。
そしてリストを実現させるため彼女は行動に出るのです。
まずは美容院に向かいました。
ここで後日伺う予定を立てると、コインランドリーに行きます。
ここで一人の男性が話しかけてきました。
リーと名乗る男性はアンをコーヒーショップで見かけて以来、気になっていたようです。
リーの電話番号を受け取りました。
リーはハンサムでとても魅力的です。
夫以外の男性がさっそく現れました。
これから二人はどうなるのでしょうか。
みどころのポイント
「死ぬまでにしたい10のこと」は余命が僅かだと宣告された若い女性が、家族や愛する人に何を残していくのか、その準備から実行、そして彼女の死までを丁寧に描いている映画です。
映画のみどころは主人公の娘たちや家族に対する愛の大きさでしょう。
彼女は突然余命があと数ヶ月だと宣告されます。
しかし主人公はそれで自暴自棄になることはなく、それを静かに受け止めて、周囲の人間にはもらしません。
自分がやり残したこと、やりたいこと、伝えたいことを10個のリストにして、それを淡々と準備します。
彼女の行動や表情はとても穏やかで、家族に知られないよう準備していくアンの姿には心が震えます。
どうして彼女は家族に教えなかったのか、それは映画の謎の一つですが、一つにはアンの家族に対する愛の大きさがあります。
余計な心配をかけたくない、家族にはいつもどおりに暮らしてほしい、と考えたのかもしれません。
映画のエンディングにはアンから愛する人へのメッセージビデオが流されます。
非常に感動的なメッセージビデオになっており涙なしでは見られません。
日々仕事や雑事に追われていると、自分が大切にしている人へ感謝や思いを伝えることはないでしょう。
しかし、映画を見るとすぐに誰かと話したくなります。
死は平等に人に訪れますが、いつがその時かは分かりません。
アンのように突然宣告がなされる場合もあれば、事故であっけなく終わってしまうこともあります。
「死ぬまでにしたい10のこと」は私たちを人生の最後、自分がどのようにして死んでいきたいか、問いかけます。
アンは死んでしまいますが、深い悲しみと共に、映画には暖かさや希望が見えます。
残された家族はきっと幸福な人生が待っており、彼女もまた幸せを感じながらエンディングを迎えることが分ります。
「死ぬまでにしたい10のこと」は劇中で「YOU」というフレーズを繰り返し用いますが、これは映画からあなたの人生についての問いかけです。
「この状況になったらあなたならどうする、あなたは何をやりたい、残したい」そう何度も語りかけることで、映画を見終わると自分の人生について思いを馳せないわけにはいきません。
人生の岐路に立ったとき、悲しいことがあったときなど繰り返し見ておきたい感動作です。