【ユーガットメール】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
1940年に、エルンスト・ルビッチ監督により制作された『桃色の店』を設定を現代に置き換えたリメイク作品です。
また『めぐり逢えたら』の監督と脚本を務めたノーラ・エフロンと主演の2人、ラブコメ女優として一世を風靡したメグ・ライアンとオスカー常連の名俳優であるトム・ハンクスが今作『ユーガットメール』で再タッグを果たしました。
さらに、今作のためにキャロル・キングが書き下ろしの新曲を提供したことでも話題になりました。
あらすじ解説
キャスリーンは老舗の絵本屋を経営し、ニューヨークに住んでいました。
彼女は恋人と同棲している傍ら、名前も職業も知らないハンドルネームNY152とのインターネットでのやり取りを恋人に忍んで楽しんでいたのです。
そんなさなか、ある日彼女の店の隣に大型ディスカウントブックカフェが出来てしまう。
なんとライバル店の主人フォックスブックスの御曹司のジョーこそメールの文通相手NY152だったのでした。
彼らは同じくニューヨークにそれも同じ仕事をしていたのです。
ジョーの店が開店してからというもの、彼女の店の売り上げはみるみる落ちてしまうのでした。
ある日キャスリーンは悩みの種である彼に仕事の悩みを打ち明け、彼に挫けずに戦うことを助言されるのでした。
そして、彼女はフォックスブックスへの反撃に出ることを決めました。
まず手始めに新聞記者である彼氏のフランクに彼女の本屋についての記事を書いてもらうと、その反響でマスコミも彼女の店について報道するようになりました。
ですが、一向に状況は変わらぬままでした。
またしてもキャスリーンはジョーに相談をし、2人は会う約束を取りつけたのです。
待ち合わせのカフェに早く来たジョーはカフェをのぞいて文通相手がキャスリーンだと知るなり帰ろうとするのですが気になってカフェに戻るのですが、顔を合わせるとお互い嫌味しか言えず彼女は珍しくジョーに面と向かって悪口を言い険悪な雰囲気のままジョーは立ち去ってしまうのでした。
家に帰っても、NY152からのメールは来ず、しかも待ち合わせの場所にも姿を現さなかったので何かあったのではないかとやきもきした彼女はカフェにやってきた商売敵のジョーに酷いことを言ってしまい後悔していることをメールで打ち明けました。
ジョーは約束を破ったことを詫びいつか自分のことを全てを明かすことを誓うのでした。
そして、キャスリーンは店を閉めることにし新たな人生を歩むことにしたのでした。
彼氏のフランクに気になっている女性が出来たと言われ、彼女も気になる存在がいることをほのめかし2人は円満に別れることになりました。
ジョーも自分が何を求めているかを考えた末に編集者の彼女と別れるのでした。
それから時間は流れ、お互いを知りやがて傲慢と偏見を乗り越え、ジョーはキャスリーンに自分が文通相手だと知らせるのでした。
みどころのポイント
この映画の見どころは、ストーリー自体はいたってありきたりな王道ラブコメになっているのにたいし、物語の要所要所に作り手のこだわりを随所に感じることが出来る点だと思います。
例えばこの映画はメールの文通を通して惹かれあうお話ですが、お互いの名前や職業など一切何も知らないからこそある神秘的で謎に満ちているのです。
だから言葉の節々に相手の人間性を感じとろうとしたり、言葉だけのやり取りだからこそ浮き彫りになり、見えるものがあるのです。
インターネットが普及していない時代も今もありかたは変化しても大切なことは変わらないことを教えてくれました。
また、舞台となるニューヨークの街並みも非常に綺麗でした。
物語が進むにつれて季節も秋から冬に移ろうのにも注目です。
特にクリスマスはキャスリーンの店のディスプレイがとても可愛いかったり、街の街路樹がライトアップされていたり、街道を通りゆく人々が冬の装いをしてクリスマスプレゼントを抱えていたりと細部までよく工夫されているので、風景をただ眺めているだけでもついつい心が踊ってしまいます。
それに加え、音楽のセンスも素晴らしかったです。
エンドロールに流れる『虹の彼方へ』は秀逸でまさにこの映画の最後を飾るにふさわしい楽曲でした。
そして、やはりこの映画の最大の見どころといえば主演の2人、メグ・ライアンとトム・ハンクスの演技でしょう。
この2人の魅力が余すことなく発揮されておりそれがこの作品をより引き立てていたといっても過言ではありません。
メグ・ライアンはとにかく可愛いの一点につきます。
仕草、表情どれひとつとってもキュートでした。
また、もともとコメディアンだったトム・ハンクスだからこそ出来たユーモアで茶目っ気溢れる演技は圧巻です。
正直トムが演じていたジョーはひねくれ者で陰湿という一癖も二癖もある人物です。
そのため、一歩間違えればただの嫌味なキャラクターになりかねません。
しかし、そのジョーをトムは絶妙なさじ加減で見事に演じ切り、クセのある魅力的なキャラクターとして成立させていました。
特にジョーがムキになって付け合わせのキャビアをごっそり取ってキャスリーンに怒られるシーンは印象的です。