【ヘドウィグアンドアングリーインチ】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は2001年公開のアメリカ映画です。
もともとはブロードウェイのミュージカルで公演された人気作品の映画化です。
監督はミュージカルでも監督を務めたジョン・キャメロン・ミッチェル、主演と脚本も担当しました。
他の出演者にはマイケル・ピットはトミーを演じ、ミリアム・ショアはイツハクを演じました。
日本では翌年に公開されています。
映画は350万ドルの売上を記録し、サンダンス映画祭などで数々の賞を受賞しました。
あらすじ解説
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は性転換した男性ロックシンガーの人生を描いた作品です。
主人公は題名にも登場するヘドウィグです。
性転換したヘドウィグ(ジョン・キャメロン・ミッチェル)はロックシンガー。
イツハクという夫をはじめ、バンドメンバー「アングリーインチ」の面々、そしてマネージャーたちと大きなバスに乗って全米を回りながらショーを行っていました。
ただし、ライブをしても客受けは悪いようです。
あるライブでのこと、隣ではミュージシャンのトミー・ノーシスがライブをしていました。
彼は非常に人気がありますが、実はヘドウィグが彼の楽曲を作曲していました。
現在は曲の権利を巡って裁判闘争中で仲が悪くなっています。
主人公はマネージャーから作戦を持ちかけられます。
トミーと仲が良いところを写真に収めて裁判を有利にすすめる作戦でした。
彼の夫であるイツハクは彼に不満を持っています。
夜の生活が原因でしたが、ヘドウィグには過去にトラウマがあってなかなか踏み出せません。
実は父親から虐待を受けて家庭は崩壊していました。
ヘドウィグはそんななかで愛についての歌を歌います。
話は過去に戻り、主人公の少年時代、彼はハンセルという名前でした。
当時住んでいたのは冷戦下のベルリンです。
ハンセルの家族は多くの人が西側にわたっているなか、東に行くことを決意します。
ハンセルはベルリンで暮らしながら、ラジオと出会い、そこでアメリカの名曲を聴いて暮らしました。
話は現在に戻ります。
この日もライブをしますが、観客は一人です。
ヘドウィグは客の隣に座って自分の昔話を語ります。
彼はその頃大学を追われていました。
父親はすでに去り、母親と二人で暮らしています。
ある日、彼らのもとにアメリカの軍人ルーサーが現れます。
彼は主人公に一目惚れをし、結婚したいと言い出すのです。
母親はパスポートを主人公にあげて、アメリカに行くことを応援しました。
そのとき「ヘドウィグ」という名前が生まれます。
アメリカで受けた性転換手術は失敗しました。
その失敗のことを歌にする主人公。
客は昔話を聞いて怒って帰ってしまいます。
映画はこのあとも過去と現在を繰り返しながら、ヘドウィグがライブを巡業し、愛を探していく姿が映されます。
みどころのポイント
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」はヘドウィグとバンドの「アングリーインチ」が全米の各地を巡業していくロードムービーです。
原作はブロードウェイ版ですが、熱烈なファンを生み出した伝説的な作品で、400回も劇場に足を運んだ観客もいたというカルト的な人気を持つ作品でした。
ヘドウィグは、まるで魂をぶつけるようにライブパフォーマンスを行います。
映画で流れる楽曲は全部で13曲。
いずれも素晴らしい楽曲になっていて、歌詞も映画のテーマと関係しています。
特に「The Origin Of Love(愛の起源)」は映画の中心テーマといっていい楽曲で、この曲は哲学者のプラトンの著作「饗宴」から着想を得ていると言われます。
楽曲の人気は高く、こぼれ話として歌手のマドンナが権利を買おうとしたことで有名です。
きらびやかな衣装で歌うヘドウィグのファッションもみどころの一つです。
ブロードウェイ時代のヘドウィグのカツラは非常に人気で、そのカツラを模した「ヘドヘッド」という被り物をしたファンが出現したほどです。
映画でも舞台版の衣装は再現されて、さらにパワーアップしています。
性転換手術を受けた男性が主人公ですが、映画のテーマはとても普遍的なものです。
テーマを一言で言うと「愛」です。
愛で重要なのは見た目や性別ではありません。
いちばん大事なのは相手を知ること、そして相手だけでなく、愛している自分も愛することです。
人を愛することの素晴らしさをストーリーや楽曲ではっきりと伝えます。
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は見た目の印象とは違って、テーマは誰にでも関心のある話になっているので、多くの人が楽しめる作品になっています。
2001年に公開された「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は、多くの国で公開されました。
ブロードウェイ版は劇場に行かないと見ることができなかったので、なかなか多くの人が見ることは難しい作品でしたが、映画になることで広く大衆に受け入れられることになります。
数々の賞を受賞したことで高い評価を受け、舞台版がロングラン上映することにも貢献しました。
日本でもこれから新たな舞台が期待されており、今でも人気の高い作品です。