【スイミングプール】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
「スイミングプール」は2003年のフランス・イギリス映画です。
上映時間は102分で、日本では翌年の2004年に公開されました。
監督をしたのはフランソワ・オゾンです。
フランス出身の映画監督で、芸術系の映画を得意としています。
主演はシャーロット・ランプリングです。
推理作家のサラモートンを演じました。
英国を代表する女優で、1960年代から活躍しています。
共演はリュディヴィーヌ・サニエで、監督の過去作にも出演しています。
あらすじ解説
女性推理作家のサラ・モートン(主人公)は漠然とした不安を抱えていました。
その不安を出版社の社長に訴えます。
彼女が手がける「ドーウェル警部」シリーズはマンネリを抱えており、推理小説は新しい新人も出ていました。
社長のジョンは彼女にフランスの別荘での執筆を勧めます。
気分転換でもすればスランプも脱することができるでしょう。
サラはその誘いを受け入れ、自身が所有する別荘へと向かいます。
管理人のマルセルに案内されて到着するとスイミングプールがあります。
プールには覆いがあり、それをめくると枯れ葉が浮いていました。
静かな別荘で小説の執筆を進めていると、女性・ジュリーが訪問します。
ジョンの娘と名乗る彼女は別荘にやってきてはプールで泳いだりして、サラの気持ちをかき乱します。
サラはフランクと出会います。
彼はカフェのウェイターをしていて、隣村から来ているようです。
昼食を済ませた主人公は別荘に戻り昼寝をします。
その頃、ジュリーがまたスイミングプールに現れて、彼女は違う水着を着ています。
ひとしきり泳ぐとプールサイドで眠りました。
その姿を隠し見ている主人公、次第に怪しい気持ちになってきます。
サラはパッと目を覚まします。
ジュリーのエピソードは彼女の妄想でした。
この頃からジュリーのことに関心を持ち始めます。
サラはパソコンのフォルダに「ジュリー」というフォルダを作り、小説のモデルとして考えていました。
彼女がプールに現れれば、こっそりと覗き、彼女の日記を盗み読みます。
食事にも誘うようになりました。
食事の席では彼女の生い立ちと男性遍歴を聞きます。
ジュリーの母はフランス人で、今はニースにいるようです。
ジュリーは新しい恋人ができて連れてきます。
その恋人とはウェイターのフランクです。
3人は真夜中のプールでダンスをして遊びます。
サラは彼らにいたずら心で石を投げ込み、その場を去りました。
次の日、庭に出るとプールの覆いを見てある異変に気づきます。
まさかと思って覆いを開くとクッションでした。
しかし、カフェに行くとフランクは不在だといいます。
ジュリーに会うと「フランクを殺した」と告白されます。
二人は一緒にフランクの死体を庭に埋めますが、実は管理人のマルセルがそれを見ていました。
ジョンの本当の娘・ジュリアも現れて謎が深まって物語は終わります。
みどころのポイント
「スイミングプール」の舞台は非常にコンパクトです。
フランスのある町の別荘を中心にしています。
そこでサラとジュリーの関係性が映画の大半を占めており、そこにフランクやマルセルなどが関わるという展開です。
舞台や登場人物が限られていることから、物語を把握しやすいかといえばそうではありません。
物語には謎が多くあり、それが物語の大きな魅力になっています。
サラは推理小説作家ですが、スランプのために別荘に来ました。
静かなところでなら執筆も進むと考えていましたが、そこに謎の女性ジュリーが現れます。
はじめはジュリーに反発を感じていましたが、徐々に彼女のことが気になります。
ジュリーは謎多き女性で、このストーリーの一番の謎と言っても過言ではありません。
主人公を誘惑するようにプールで泳ぎます。
監督をしたのはフランソワ・オゾンですが、彼によれば「スイミングプール」とは空想と妄想が入り交じった作品です。
主人公が推理作家という設定は、彼女が虚構の世界の人物ということを暗示しています。
特に印象的なエピソードは、サラがジュリーの水泳するシーンを妄想するところです。
このシーンが挟まることで、映画は現実と虚構が入り混じっていることを暗示します。
さらにサラが彼女を小説のモデルにすることも暗示的なシーンといえます。
物語の最後には社長の娘ではないことが判明し、もしかしたらジュリーはサラの妄想の産物(仮想の人物)だったかもしれない、という可能性を残して物語は終わるのです。
映画を見ていると、いくつもの伏線があって、想像力を刺激する作品になっています。
映像の美しさも魅力の一つです。
フランスの別荘は非常に美しく、特にスイミングプールは美しく撮られています。
プールには枯れ葉が浮いていますが、そのシーンは幻想的ですらあります。
女優のシャーロット・ランプリングとリュディヴィーヌ・サニエのセクシーな映像も魅力です。
特にサニエは露出が多くて、美しい体を披露しています。
映画は静かに進行しますが、それが映像の美しさを際立たせています。
しかし、物語はとてもミステリアスで、美しい映像とミステリーの対比が「スイミングプール」の大きな魅力です。