【コントロール】の作品情報(スタッフ・キャストなど)
「コントロール(Control)」は2007年に制作されたイギリス・アメリカの合作映画です。
伝説的なボーカル、イアン・カーティスの伝記映画でもあります。
監督はオランダ生まれの映画監督のアントン・コービンです。
これまでに様々なミュージシャンやバンドの映像を撮影した経歴があり、音楽映画に挑戦しました。
主な出演者はサム・ライリーやサマンサ・モートンです。
映画は低予算映画であり、約640万ドルで制作されました。
あらすじ解説
舞台は1970年代のイングランド北部・マックルズフィールド。
16歳のイアン・カーティスはデボラという女性に会い19歳で結婚しました。
職がなかった彼は職業安定所で働き、バンド活動にいそしみます。
1976年、バーナード・サムナーやピーター・フックと組んで「ワルシャワ」を結成。
その後、バンド名は「ジョイ・ディビジョン」に改名されました。
ジョイ・ディビジョンは敏腕マネージャーのロブ・グレットンが就任した頃から急成長し、テレビ番組に出演すると、番組のホストの目にとまります。
彼は自分のレーベルを持っており、バンドはメジャーデビューを果たしました。
契約をして以降もイアン・カーティスは職業安定所で働いています。
彼は農場で働いた際に、癲癇(てんかん)の発作を起こした女性を目撃します。
1978年、ロンドンで公演を終えると主人公は帰り道に発作を起こしました。
病院の診断を受けると癲癇だと告げられます。
農場の出来事があってから、運命的な病気を背負ってしまった主人公は、輝かしい未来が待っていると思った頃から一変、不安を抱えました。
1979年、ジョイ・ディビジョンは初アルバムのレコーディングをしています。
妻のデボラはナタリーを出産していました。
ところがイアン・カーティスは取材に来た記者のアニークと愛人関係になります。
デボラが愛人のことを知ると、彼に問い詰めました。
イアンは関係を終わらせるとデボラに誓いますが、すぐにアニークと会ってしまいます。
罪悪感から自殺を図るイアンでしたが、なんとか一命はとりとめました。
彼は療養のため一度実家に帰ります。
バンドのアメリカツアーが近づいていました。
アメリカに行くことに躊躇しますが、デボラと顔を合わせると喧嘩してしまいます。
離婚を切り出す妻にそれだけは辞めてくれといいましたが、妻から厳しく追及されて、とうとうデボラを追い出してしまいました。
妻が家を出てほどなくして、イアンに発作の症状が出ます。
翌朝、デボラは家に帰ってくると、キッチンで死体となった夫を発見します。
この日は1980年5月18日、バンドがアメリカツアーに向かう当日の朝でした。
イアン・カーティスは23歳で命を断ったのです。
みどころのポイント
「コントロール(Control)」はニュー・オーダーの前身となったジョイ・ディビジョンのボーカル、イアン・カーティスの生涯を描いた作品です。
23歳で自殺したイアン・カーティスはバンドのカリスマ的存在でした。
ロックミュージシャンは早死にすることで伝説となるケースが多いですが、早死したアーティストといえば「27クラブ」が有名です。
27歳で死亡したアーティストが多いことからこの名前が付きましたが、イアン・カーティスは23歳で命を絶ちました。
活動期間は10代後半から23歳にかけての数年に過ぎませんが、この期間にカリスマと言われるほどに存在感を発揮します。
まさに太く短く雄々しく生きた人生です。
イアン・カーティスの生涯を描いたのはオランダ人のアントン・コービンです。
アントン・コービンはフォトグラファー出身という異色のキャリアがあります。
1979年には世界でもっとも影響力のある写真家に選ばれました。
写真家として成功後はミュージックビデオの世界に入ります。
そして、これまでに数々のアーティストのミュージックビデオなどを手掛けてきました。
アントン・コービンにとって本作は映画のデビュー作でもあります。
しかし、デビュー作ながら海外の映画祭のコンペティションに選ばれるなど、世界の注目を集めます。
デビュー作は批評家からも絶賛されて、オランダを代表する映画監督になりました。
映画はカメラマン出身の監督だけあり、非常に美しいカメラワークや構図が魅力です。
イギリスの片田舎で物語は始まりますが、寂れた街を魅力的に撮影しています。
もちろんジョイ・ディビジョンのバンドシーンも圧巻の出来です。
世界的なミュージシャンのビデオを撮ってきただけのことはあり、彼の本領はいかんなく発揮されています。
ただし、映画の大半はイアン・カーティスの日常を捉えたものです。
彼の自殺はファンにとっても謎の部分がありましたが、丹念な取材によって彼が追い込まれていく様が克明に記録されています。
イアン・カーティスの苦悩の日々を見て、ときには胸が痛くなるような辛いシーンもあります。
しかし、彼の人生を正確に振り返ることで、彼についての理解が深まり、イアン・カーティスの残した音楽がさらに豊かなものになるでしょう。